サイト売買コラム

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サイト売買の購入後。成功・失敗パターンの特徴は?

この記事のポイント

サイト売買を成功させるには、売買と運営の知見を身につけ、社内のリソースを確保が大切!

執筆者:和家 智也

サイト売買の買い手にとって気になるのが、購入後の動向です。サイト売買では購入後にアクセス増加や売上増加が見込める一方、中には購入したサイトを上手く活用できないケースも見られます。

購入後の失敗を避けるためには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。本記事では、サイト売買で購入後の成功・失敗パターンをそれぞれ紹介していきます。

サイト購入後の成功パターンを紹介

サイト売買の購入後は、次のような成功パターンが多く見られます。

・アクセスがさらに増加した
・売上が増加した
・既存事業とのシナジー効果が得られた
・サイトを成長させて再売却した
・事業の軸になった

それぞれくわしく解説していきましょう。

アクセスがさらに増加した

サイト売買では、事前に売り手よりアクセス数の情報を開示してもらいます。購入後にそのアクセス数を上回ることができれば、サイト運営は成功しているといえます。

アクセス数が顕著に増加しているサイトでは、売上の作り方に幅が生まれるため、今後新たな戦略を立てられる期待もあります。

売上が増加した

サイト売買では、「効率よく売上を上げたい」という目的でサイトを購入する人も多いでしょう。購入後、開示してもらったデータよりも売上が増加していれば、それはサイト売買の大きな成功といえます。

ただし、中には一時的な要因で売上が増加するケースも少なくありません。サイト売買を成功に導くためには、その後も売上を維持もしくは右肩上がりに増加させていくことが重要です。

既存事業とのシナジー効果が得られた

サイト売買では、既存事業とのシナジー効果を狙うケースもあります。既存事業と関連性の高いWebサイトやSNSアカウントを購入すれば、双方にシナジー効果が期待できます。

購入後、当初の予定通り既存事業の幅が広がった場合は、購入にかかった資金を早期に回収することもできるかもしれません。

サイトを成長させて再売却した

サイト売買では、購入したサイトを成長させて再売却することも可能です。

購入後にアクセス増加や売上増加ができれば、それだけでも成功といえます。加えて、購入金額以上で再売却できれば大成功といえるでしょう。

中には、サイト購入と再売却を繰り返しながら利益を得るシリアルアントレプレナーのような人もいるほどです。

事業の軸になった

購入したサイトは本業のサポート的な役割ではなく、事業の柱として活用することも可能です。事業の中枢として売上を担ったり、新たな事業展開を行うことができたりすれば、それは大きな成功といえます。

サイト購入後にうまくいかないケースとは?

サイト売買では、購入後にうまくいかないケースもいくつか見られます。

・購入後にアクセスが減少した
・売上が下がった
・購入後のサイトを活用できなかった

それぞれくわしく確認していきましょう。

購入後にアクセスが減少した

サイトのアクセス数は、運営状況の良し悪しを示すひとつの指標です。購入後にアクセス数が減少するのはGoogleのアップデートなどの影響も考えられますが、更新頻度やクオリティが下がってしまった結果の可能性もあります。

アクセス数の減少は売上の減少にも直結するため、「なかなか購入資金を回収できない」ということもあるかもしれません。

売上が下がった

アクセス数と同じく、売上も運営状況の良し悪しを示すものです。購入後に売上が下がってしまうのは、サイトの運営が上手くいっていないことの表れといえます。

この場合は「購入前とどのような点が異なるか」など、売上が下がった原因を追求することが大切です。

購入後のサイトを活用できなかった

サイト売買では、本業とのシナジー効果や新規事業の立ち上げを見据えてサイトを購入するケースが多いものの、中には購入したサイトを上手く活用できないケースもあります。その要因として、「サイト運営を再現できなかった」、「本業との関連が薄かった」といったものが挙げられるようです。

サイト売買では購入にまとまった資金が必要となるため、「あまり上手くいかなかった」ということにならないように、しっかりと戦略を立てて取り組むことが大切です。

サイト売買の購入後にうまくいかない理由

サイト売買を成功させるためには、購入後に上手くいかなかった理由を押さえておく必要があります。

・購入はしてみたが運用方法が分からなかった
・想定より運用に時間がかかった
・運用する人員が不足している

それぞれどのような理由なのかくわしく解説していきましょう。

購入はしてみたが運用方法が分からなかった

サイト売買の際にアクセス数や取引金額だけをみて購入を決めてしまうと、購入後にサイト運営を再現できないことがあります。サイト運営には一定の知見が必要となるため、「自分で運営を再現できるか」ということをよく考慮しなければ、購入後にサイトを放置することにもつながってしまいます。

想定より運用に時間がかかった

サイト運営の再現性についてきちんと考えていた場合でも、「実際に運営してみると想定よりも時間がかかる」ということも少なくありません。

思ったよりもリソースが必要となる場合、十分にサイト運営に時間が割けずに更新が止まる、もしくは頻度が下がってしまうことも考えられます。

サイトを運用する人員が不足している

購入したサイトを運営する人材がいないことも、購入後に上手くいかない要因のひとつです。たとえば、アフィリエイトサイトの場合であれば、記事制作を依頼できるライターの存在が必要不可欠といえるでしょう。

売り手と同じ運営を再現するためには、事前に人員を確保しておくことも大切です。

サイト購入後の失敗を避けるために

サイト売買の購入後に失敗を避けるためには、次のようなポイントを押さえておくことが大切です。

・マニュアルなどを共有してもらう
・購入後のサポートの有無を確認
・運用体制を整える
・知見を身につける
・人材を引き継いでもらう

それぞれくわしく解説していきましょう。

マニュアルなどを共有してもらう

サイト売買では、売り手から運営マニュアルを共有してもらうことができます。きちんとマニュアルが準備されているサイトであれば、運営の再現性があり、引き継ぎ後のユーザー離れを防ぐことができます。

購入するサイトを選定する際は、マニュアルの有無も確認しておくとよいでしょう。

購入後のサポートの有無を確認

サイトの運営をしっかりと引き継ぐためには、購入後のサポートの有無も大切なポイントです。サイトの譲渡を受ける際には、あらかじめ不明点や疑問点をクリアにしておくことができますが、いざ運用を引き継いでみると新たな疑問点が生じてくるものです。

購入後もサポート体制が整っていればいつでも相談することができるため、安心してサイト運営を引き継ぐことができます。

運用体制を整える

サイト売買では、アクセス数や売上などのデータだけを見て購入を決めるのではなく、「自社に運営を再現できるリソースがあるか」ということをよく検討することが大切です。スムーズに運営を引き継ぐためには、あらかじめしっかりと社内の体制を整えておきましょう。

知見を身につける

サイト売買では、運営するサイトのジャンルに関して必ず知見が必要となります。たとえば、外注のライターなどにコンテンツの制作を依頼することはできるものの、運営者自身も知見を身につけておかなければ、後々のトラブルにつながってしまうこともあるかもしれません。

特に、専門知識が必要となるジャンルのサイトを購入する際は、「精通した人材を雇用する」など対策を講じておきましょう。

人材を引き継いでもらう

売り手が外注のライターや制作会社に依頼してコンテンツを作成している場合、外注先も含めて引き継いでもらえるように交渉することが大切です。サイトの引き継ぎ後にコンテンツのクオリティが下がってしまうと、アクセス数や売上の減少にもつながってしまいかねません。

同じクオリティのコンテンツを保つためにも、外注先の引き継ぎも可能かどうか確認するようにしましょう。

まとめ

サイト売買では、購入後に売上増加やアクセス増加などの成功パターンがある一方、思うような効果が得られないケースも見られます。サイト売買を成功させるためには、あらかじめ取引に関する知見を身につけたり、社内のリソースを確保しておいたりすることが大切です。

ぜひ、本記事で紹介したポイントを参考にサイト売買に取り組んでみましょう。

執筆著者 和家智也(わけともや)

執筆者: M&Aアドバイザー 和家 智也(わけ ともや)
株式会社ゼスタス 代表取締役/早稲田M&Aパートナーズ株式会社 代表取締役
一般社団法人日本サイトM&A協会 代表理事

筑波大学第三学群基礎工学類卒業。早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻修士課程修了(MBA)。2006年、サイトM&A専門仲介事業『サイトレード』を立ち上げる。2017年、第11回M&Aフォーラム賞 選考委員会特別賞を受賞。著書『M&Aエグジットで連続起業家(シリアルアントレプレナー)になる