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Amazonアカウントは複数持つことが可能?メリット・デメリットを紹介

この記事のポイント

Amazonの出品アカウントは原則1つしか持つことができないが、一定の条件に当てはまる場合は複数開設することが可能!

執筆者:和家 智也

Amazonの出品アカウントは原則1つしか持つことができませんが、一定の条件に当てはまる場合は複数開設することが可能です。また、購入アカウントについては出品アカウントのような制限がなく、どなたでも複数持つことができます。

本記事では、Amazonアカウントを複数持つことのメリット・デメリットについて「出品アカウント」と「購入アカウント」に分けて解説していきます。

Amazonアカウントは複数持てる?

Amazonアカウントの開設に関する制限は、購入アカウントと出品アカウントによって異なります。まずは、アカウント数に関する規制を確認していきましょう。

(1)購入用アカウントは複数作成OK 

Amazonの購入アカウントについては、複数作成することが認められています。「切り替え機能」を利用するとログアウトやログインを行わずにアカウントの切り替えができるため、手軽に複数のアカウントを使い分けることが可能です。

(2)出品用アカウントは原則NG

出品アカウントについては、原則出品する地域ごとに1つのアカウントしか作成が認められていません。ただし、下記の条件に当てはまる場合は複数のアカウントを所有することが認められています。

・複数のブランドを所有し、それぞれ独立したビジネスを行っている
・2つの異なる法人で、商品を製造している
・別々のアカウントを必要とするAmazonのプログラムに参加している

引用:Amazon「出品者の禁止活動および行為、ならびに遵守事項」

たとえば、異なる法人・屋号で小売業を営んでいる場合は、「1つのアカウントはIT機器の販売、もう1つのアカウントは化粧品の販売」など複数のアカウントを開設することができます。

Amazon出品アカウントを複数持つメリット

Amazonの出品アカウントを複数持つことには、リスクヘッジやビジネス展開においてさまざまなメリットがあります。それぞれくわしく確認していきましょう。

(1)出品停止に対するリスクヘッジ

Amazonの出品アカウントは、思わぬ理由により出品停止の措置をとられることがあります。Amazonにはいくつかの禁止行為が定められており、中には知らずに禁止行為を行ってしまうケースもあるかもしれません。

もし出品停止の措置を取られると、その制限が解かれるまで事業を行えないため、売上に大きな影響を与えてしまいます。

しかし、出品停止を受けたアカウントと別のアカウントを所有していれば、そのアカウントで事業を続けられるため、「一定期間売上がゼロになる」という事態を避けられます。

(2)特定のジャンルに特化することで、消費者からの信頼が得られる

複数の出品アカウントをジャンルに分けて運用することで、消費者からの信頼が得られる点も大きなメリットです。

たとえば、健康食品を購入するときにそのショップが文房具や化粧品、家電などさまざまな商品を取り扱っていると、どのような印象を受けるでしょうか。多くのユーザーは、「専門性がない」「運営は安全だろうか?」といったネガティブな印象を受けるでしょう。

その点、アカウントを使い分けてジャンルに特化することで、専門店のようなイメージ戦略が可能となり、消費者からの信頼も得やすくなります。

(3)取り扱う商品を固定することで販売力があがる

EC事業では、「今どのような商品の売り上げが好調か」、「季節性によって売上に変化はあるか」といったマーケット分析が欠かせません。しかし、1つのアカウントでさまざまなジャンルの商品を取り扱っていると、商品の売上傾向を把握しにくいデメリットがあります。

その点、複数の出品アカウントに分けて運営することで、人気商品の選別や売上推移の管理が簡潔になり、ビジネスの戦略も立てやすくなります。

(4)出品アカウントごと事業譲渡することができる

複数の出品アカウントを運営することは、将来的にいずれかのアカウントを売却することにもつながります。

Amazonアカウントの売買は近年活発に行われており、月間売上の水準などによっては高値で売却されるケースも珍しくありません。売却によって得た資金を元手に新たなビジネスを始めることも可能なため、最終的に売却することを目的にアカウント運営するのもひとつの方法です。

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Amazon出品アカウントを複数持つデメリット

Amazon出品アカウントを複数持つことには、費用面や手続きに関するデメリットもあります。ひとつずつ確認していきましょう。

(1)所有しているアカウント全てが同時に凍結する可能性がある

複数の出品アカウントを所有している場合、運営側の判断によって全てのアカウントが凍結されるケースがあります。

いずれかのアカウント運用に問題がある場合は、すべてのアカウントの問題が処理されるまで、すべての出品用アカウントが停止されることがあります。

引用:Amazon「出品者の禁止活動および行為、ならびに遵守事項」

万が一すべてのアカウントが凍結されてしまうと、事業を立て直すために膨大な手間暇がかかり、ビジネスの存続にも大きな影響を与えてしまうかもしれません。

複数の出品アカウントを所有する場合は、規約違反とならないよう禁止行為をしっかりと把握しておくことが大切です。

(2)アカウントごとに基本料金が発生する

Amazon出品アカウントでは、プランに応じて出品時に手数料がかかります。特に「大口出品プラン」では月額制の基本料金となっているため、アカウントごとに基本料金を支払うこととなってしまいます。

出品アカウントを複数所有する場合は、「事業の規模に応じてプランを使い分ける」など、少しでもコストを削減するように気を付けましょう。

(3)Amazonへ事前申請が必要

Amazon 出品アカウントを複数作成する場合は、事前に申請手続きが必要です。わざわざ申請手続きを行うことは手間に感じられるかもしれませんが、もし無許可で複数アカウントを所有していると出品停止などの措置を取られる要因にもなります。

複数アカウントを作成する際は、必ず申請手続きを行うことを忘れないようにしましょう。

Amazon購入アカウントを複数持つメリット

Amazon 購入アカウントを複数持つことには、次のようなメリットが挙げられます。

・プライベート用とビジネス用で使い分けられる
・購入履歴や閲覧履歴を家族に見られない
・家計と自分のお金で分けて管理ができる

用途によってアカウントを使い分けることで、家計や経費の管理に役立てられます。アカウントの切り替えもすぐに行えますので、ぜひ上手に使い分けをしてみましょう。

Amazon購入アカウントを複数持つデメリット

一方、Amazon 購入アカウントを複数持つときは、次のようなデメリットに注意が必要です。

・複数アカウントを後から連携、統合することはできない
・クレジットカードを共有できない
・Amazon prime会員費はアカウントごとに発生する

購入アカウントを複数所有する場合、その数だけクレジットカードやAmazon prime会員費が必要となります。「アカウントを複数作ったら月額の請求が膨らんでしまった」ということにならないよう、上記注意点は十分理解しておきましょう。

出品アカウント複数作成に必要なもの

Amazon出品アカウントを作成する際は、下記のいずれかによって登録手続きを行います。

・メールアドレスとパスワード
・メールアドレスと携帯電話番号とパスワード
・携帯電話番号とパスワード

メールアドレスについては、GmailやYahoo!メールなどのフリーメールアドレスでも可能です。

まとめ

Amazonの出品アカウントは、一定の条件をクリアすれば複数作成できます。複数のアカウントを使い分けることで、リスクヘッジやビジネス展開にさまざまなメリットがありますので、ぜひアカウントの使い分けを検討してみましょう。

ただし、作成には事前に申請が必要となりますので、必ず忘れずに手続きを行うことが大切です。

執筆著者 和家智也(わけともや)

執筆者: M&Aアドバイザー 和家 智也(わけ ともや)
株式会社ゼスタス 代表取締役/早稲田M&Aパートナーズ株式会社 代表取締役
一般社団法人日本サイトM&A協会 代表理事

筑波大学第三学群基礎工学類卒業。早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻修士課程修了(MBA)。2006年、サイトM&A専門仲介事業『サイトレード』を立ち上げる。2017年、第11回M&Aフォーラム賞 選考委員会特別賞を受賞。著書『M&Aエグジットで連続起業家(シリアルアントレプレナー)になる