サイト売買コラム

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サイト売買の買い手は売却サイトのどの点に注目するのか?何をもって買収を決断するのか?

この記事のポイント

買い手はサイト買収によって複数の事業メリットを得ることを考えている。その視点を持つことでサイト価値を高める運営ができる。

執筆者:和家 智也

サイト売買という一種のM&Aがビジネスとして活発になっています。買い手は既存ビジネスや将来の事業計画に合ったサイトを益々購入したがっています。

売却サイトを分析してリスクを考慮し、適切なサイトを選定してサイト売買の成功に繋げたいと考えています。具体的にはどのような視点をもってサイト購入をしているのでしょうか?

買い手はこんなサイトを欲しがっている

サイト売買の買い手は、潜在的な成長性や収益性を考慮しながらサイトを買収したいと考えています。特に、以下のような特徴を持つサイトが買収に魅力的だという声が多くあります。

1.アクセス数が多く登録会員を有するサイト
2.持続的な収益を生み出しているサイト
3.競合他社に対して優位な地位を有するサイト
4.特定のジャンルや業界に特化したサイト
5.多言語対応や国際展開が可能なサイト
6.スマホ対応やSEOに強いサイト

ただし、上記の特徴を持つサイトがあっても、買収に向いているかどうかは評価が必要です。サイト売買やM&Aは市場環境などの外部要因、買い手の経営戦略などの内部要因によって異なってくるからです。

買い手が注目する6つのポイント

買い手がサイトを購入する際、自分が欲しいサイトの特徴や共通点があります。それらのうちポイントが6つありますので一つずつみていきましょう。

(1)アクセス数が多く、登録会員を有するサイト

多くのアクセス数があり、登録会員を有するサイトは、そのサイトが需要の高いものであることを示しており、将来的に収益性が期待できると考えられます。

(2)持続的な収益を生み出しているサイト

持続的な収益を生み出しているサイトは、経営が健全であることを示しており、将来的にも収益性が期待できると考えられます。

(3)競合他社に対して優位な地位を有するサイト

競合他社に対して優位な地位を有するサイトは、その業界でのリーダー的存在であることを示しており、将来的にも成長性が期待できると考えられます。

(4)特定のジャンルや業界に特化したサイト

特定のジャンルや業界に特化したサイトは、その業界に熟練していることを示しており、将来的にも成長性が期待できると考えられます。

(5)多言語対応や国際展開が可能なサイト

多言語対応や国際展開が可能なサイトは、将来的にもグローバルな成長性が期待できると考えられます。

(6)スマホ対応やSEOに強いサイト

スマホ対応やSEOに強いサイトは、現代のインターネット利用環境に適応していることを示しており、将来的にも成長性が期待できると考えられます。

買い手が気を付けている点

買い手がサイトの買収判断をする際には以下の点に気を付けています。

(1)売上や利益

売上や利益が伸び続けているサイトは、将来的な収益源となります。売上は、サイトが収益を上げるために獲得した収入を示します。利益は、売上から費用を差し引いた数値で、企業が実際に利益を上げているかどうかを示します。サイトの買い手は、買収先のサイトが過去数年間でどの程度の売上や利益を上げてきたか、そして将来においてどの程度の収益を上げることができるかを調べます。また、サイトの運営状況や運営コスト、競合環境なども考慮しています。

(2)ユーザー数やアクセス数

アクセス数やユーザー数が増加傾向にあるサイトは、将来的にも成長が見込めます。ユーザー数は、特定のウェブサイトにアクセスした人の数を指します。アクセス数は、そのサイトにアクセスした回数を指します。これらの数値は、サイトの人気や利用状況を示す指標として使用されます。買い手は、購入するサイトのユーザー数やアクセス数が多いほど、将来的に収益を上げる可能性が高いと考えます。

(3)サイトのジャンル

ジャンルやターゲットによって、将来的な収益が見込めるサイトも異なります。サイトのジャンルは、そのサイトが提供するコンテンツやサービスの種類を表します。例えば、ニュースサイト、商品販売サイト、SNSサイトなどがあります。ジャンルによって、そのサイトがターゲットとするユーザーや収益源などが異なります。買い手は、自社の事業に適したジャンルのサイトを選ぶことが重要と考えます。

(4)継続的なSEO対策

サイトのランキングや検索順位が良好なサイトは、将来的にもアクセスが集まり成長する可能性が高いです。SEO対策を行うことで、検索結果に上位表示されるというメリットがあります。上位表示されると、訪問者の数が増え、さらに、検索結果に上位表示されることで、ブランド力も向上し、信頼性も高まります。

(5)コンテンツの品質

サイトに掲載されているコンテンツの品質や更新頻度なども買収判断の指標になります。品質の高いコンテンツは、サイトのアクセスを増やし、検索エンジンによる上位表示を促進することができ、長期的にサイトを運営する上で重要になります。コンテンツの品質が高いことは、サイトのブランドイメージを高めることにもつながり、買い手は重要視する点の一つになります。

(6)スマホ最適化

スマホ対応や最適化できたサイトは、将来的にもアクセスが集中する可能性が高いです。モバイルやスマホに最適化されたサイトは、現在のインターネット利用環境に合わせたサイトと言えます。現在はスマートフォンなどのモバイル端末からのインターネットアクセスが増加しているため、モバイルに最適化されたサイトはユーザーにとっても使いやすい上に、検索エンジンにも好意的に評価されやすいと考えられます。そのため、買収先のサイトがモバイルに最適化されていることは買い手にとっても重要なポイントとなるでしょう。

相乗効果(シナジー)をどう考えているか?

サイトの収益がなくても、買い手はシナジーを考えて買う場合があります。相乗効果を生むアイデアとしては、買収先のサイトに自社のサービスや商品を提供すること、買収先のアクセス数やカスタマーの属性を活用して、新しい広告展開やマーケティング戦略を立てること、買収先のテクノロジーやノウハウを活用して自社のサイトやサービスを改善することが考えられます。

1.コンテンツのシナジー: 買収先のサイトが持っているコンテンツを既存のサイトに統合することで、新しいトラフィックを獲得し、収益を増やす。

2.データのシナジー: 買収先のサイトが持っているデータを利用することで、新しいターゲット層を獲得し、広告収益を増やす。

3.テクノロジーのシナジー: 買収先のサイトが持っているテクノロジーを利用することで、既存のサイトのパフォーマンスを向上させる。

4.ブランドのシナジー: 買収先のサイトが持っているブランド力を利用することで、新しい顧客を獲得し、収益を増やす。

5.チームのシナジー: 買収先のサイトのチームを統合することで、新しいアイデアを生み出し、ビジネスを成長させる。

まとめ

買い手は既存の事業に買収したサイトを組み合わせることで、新しい収益源を開拓したり、ターゲット顧客を拡大したり、ブランド力を強化したりすることができます。また、既存の事業に対して買収先のサイトが補完的な役割を担うことで、相乗効果を生むことができます。

一方、買い手には買収に伴う費用やリスクがあります。買収にかかる費用は、購入代金や手数料などの経費が含まれます。また、買収先のサイトが既存の事業に適していない場合や、買収先のサイトの経営がうまくいかない場合、買収元の企業にとってリスクとなることがあります。

買い手は、買収するサイトの事業内容や顧客属性、売上高や利益などの財務状況を調査し、それらが既存の事業に適しているかどうかを判断します。また、買収先のサイトの経営者や従業員とのコミュニケーションを取り、将来的な戦略やビジョンが一致するかどうかを確認します。

売り手としては、これら買い手の視点を考えながらサイトを運営し、価値の向上を目指しましょう。

執筆著者 和家智也(わけともや)

執筆者: M&Aアドバイザー 和家 智也(わけ ともや)
株式会社ゼスタス 代表取締役/早稲田M&Aパートナーズ株式会社 代表取締役
一般社団法人日本サイトM&A協会 代表理事

筑波大学第三学群基礎工学類卒業。早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻修士課程修了(MBA)。2006年、サイトM&A専門仲介事業『サイトレード』を立ち上げる。2017年、第11回M&Aフォーラム賞 選考委員会特別賞を受賞。著書『M&Aエグジットで連続起業家(シリアルアントレプレナー)になる