サイト売買コラム

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【実例で学ぶ】サイト売買時の失敗回避と重要な注意点

この記事のポイント

サイト売買の失敗事例を参考に成功確率を上げる!経験豊富な仲介会社の活用を忘れずに!

執筆者:和家 智也

私がよく聞かれることとして、ウェブサイト売買で成功するための事例や注意点を整理しました。失敗事例から学ぶべき点や成功事例を通じて得られるヒント、売買プロセスにおいて特に注意すべきポイントについて、実例を交えながら分かりやすく説明します。

ウェブサイト売買の基礎知識

ウェブサイト売買は、インターネット上での事業譲渡や資産取引(M&A)の一形態です。この取引には、無形固定資産の価値を評価すること、適切な売買契約を結ぶこと、そして引継ぎを無事に完了させることなど、多くの注意点があります。

ウェブサイト売買とは

ウェブサイト売買は、あるウェブサイトの所有権を売る人から買いたい人へと移転する取引プロセスを指します(スキームとしてはM&A)。売り手は事業を拡大する資金を得るか、運営から手を引くためにウェブサイトを売却することがあります。

一方、買い手は新たなビジネスチャンスを模索しているか、既存のビジネスを強化するためにウェブサイトを購入することが一般的です。

サイトの価値を決める要素

ウェブサイトの価値は、独自コンテンツ、アクセス数、収益性、検索エンジン対策(SEO)、会員数やSNSフォロワー数など、多岐にわたる要素に基づいています。これらの要因を総合的に評価することで、ウェブサイトの価値を導き出すことができます。

要素説明
コンテンツの質独自性の高い質の良いコンテンツは、ウェブサイトの価値を大きく高めます。
アクセス数閲覧者が多いウェブサイトは、そのウェブサイトが人気であり収益を生み出す源泉になります。
収益性広告や商品の販売からの収益がウェブサイトの価値を示します。
検索エンジン対策(SEO)Googleなどの検索エンジンでの検索順位はサイトの信頼を意味します。
会員数・SNSフォロワー数会員やフォロワーが多いことは、ブランド価値につながります。

サイト売買における成功の鍵

ウェブサイトを売買する際、正確な価値評価の方法を把握し、売買契約時におけるチェックリストの準備が不可欠です。これらのステップでは、買い手も売り手も、ウェブサイトが本当に持つ価値を知り、公平な取引が成立することを目指します。

正確な価値評価の方法

ウェブサイトの価値評価には、収益性、アクセス数、ドメインパワー、コンテンツの質と独自性、SEO対策、ソーシャルメディアの影響力など多くの要素が関連します。これらの要素を詳細に分析することで、ウェブサイトの現在の市場価値と将来性を評価することができます。具体的な分析方法としては、ウェブサイトの運営データ、競合サイトとの比較、他サイトとの比較を行います。

売買契約時のチェックリスト

売買契約を結ぶ前に、譲渡条件を満たしているかどうか確認することが重要です。このチェックリストには、ウェブサイトの所有権の移転、知的財産権の確認、財務情報の透明性、運営に関連する契約の詳細、引継ぎサポートや保証の有無などが含まれます。これらの条件事項を事前に確認することで、後にトラブルが発生するリスクを大幅に減少させることが可能となります。

サイト売買で失敗する典型的な事例

失敗事例1:収益性の見極めミス

多くの買い手は、ウェブサイトからの収益が安定している、または成長していると判断し、高額で購入します。しかし、購入後に市場の変化、Googleのアルゴリズムの更新、他社サイトとの値下げ競争などにより、予想された収益を得られないことがあります。重要なのは、過去のデータだけでなく、将来性を見極めることと、可能なリスクを事前に評価することです。

失敗事例2:権利問題の見落とし

ウェブサイトを購入する際、コンテンツや画像、特定の機能に関する権利が完全に移転されるとは限りません。過去には、権利が第三者に属しているコンテンツを使用していたために、法的な問題に直面する事例がありました。契約書には、すべての権利が購入者に移転されることを明確に記載し、必要に応じて権利の状況を確認する必要があります。

失敗を避けるための具体的な注意点

セキュリティ確認

ウェブサイト売買の過程で見落としがちなのは、セキュリティの確認です。購入前に、ウェブサイトが過去にハッキングされたことがないか、安全な通信が保証されているか(HTTPS使用)、HPシステム(Wordpressなど)のデータベースが更新されているか、安全対策が適切に施されているかを詳細に調査しましょう。これらの点を確認することで、将来的なセキュリティ関連の問題発生を防ぎ、安心してウェブサイト運営を行える基盤を作ります。

ドメインの移管プロセス

ウェブサイトの売買に際して、ドメインの移管は非常に重要なプロセスです。ドメインの所有者変更手続きには、売買双方が協力して正確に行う必要があります。移管プロセス中に生じ得るトラブルを避けるため、移管手続きの前に、ドメインのレジストラ(登録機関)から提供されるガイドラインを確認し、必要書類や手続きの詳細を把握しておくことが大切です。また、移管後もドメインの有効期限に注意し、更新を忘れないようにしましょう。

契約内容の詳細チェック

ウェブサイト売買の際に交わされる契約書は、後々のトラブルを避けるために非常に重要な役割を果たします。契約書には、取引条件、無形資産の譲渡に関わる権利と義務、また、売買後に発生しうる問題に関する取り決めが明記されています。法的なトラブルを避けるため、契約書の内容を詳細に確認し、分からない点や不明確な条項がないかをチェックしましょう。必要であれば、専門家の意見を求めることも重要です。

成功事例から学ぶ

成功事例1:サイト事前分析

新規事業を始めたい買い手のケースでは、ウェブサイトの買収を検討する際、徹底的な事前分析を行いました。市場動向、競合分析、そしてウェブサイトの運営履歴を詳細に検討した結果、重要な収益源となる可能性が高いウェブサイトを見つけて仲介会社に相談。同時にSEO対策やSNS(Instagram)での評判も調査し、そのウェブサイトが持つ潜在力を評価しました。事前分析に基づいて仲介会社経由で交渉に臨んだ結果、値下げ価格での買収に成功し、短期間で投資回収を達成。徹底した事前分析に裏付けられた戦略的な決断によるものだと言えます。

成功事例2:適切な価格での取引

既存運営ウェブサイトを売却する売り手のケースでは、ウェブサイトの売却前に、収益性、成長可能性、そして裏付けとなるデータをしっかりと整理し、仲介会社と協力して買い手に対して魅力的にプレゼンテーションしました。さらに、専門家による適切な価値評価を受け、現実的な価格設定を行ったことで、希望通りの価格でウェブサイトを売却することができました。この会社では、実はウェブサイトを売却する1年以上前から価値を高めるための施策を実施していました。自社のウェブサイトや事業の価値を見出し、それをうまく伝える準備をすることが重要です。

まとめ

ウェブサイト売買の成功は、正確な評価、詳細な事前分析、そして契約内容の詳細チェックなどが関係します。失敗事例を参考にしてみてください。サイト売買の専門家である仲介会社は多くの失敗例と成功例を経験しています。どうやってサイト売買を進めてくのがベストなのかをまずは相談しましょう。

執筆著者 和家智也(わけともや)

執筆者: M&Aアドバイザー 和家 智也(わけ ともや)
株式会社ゼスタス 代表取締役/早稲田M&Aパートナーズ株式会社 代表取締役
一般社団法人日本サイトM&A協会 代表理事

筑波大学第三学群基礎工学類卒業。早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻修士課程修了(MBA)。2006年、サイトM&A専門仲介事業『サイトレード』を立ち上げる。2017年、第11回M&Aフォーラム賞 選考委員会特別賞を受賞。著書『M&Aエグジットで連続起業家(シリアルアントレプレナー)になる