サイト売買コラム
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【事例あり】ECサイトの売買が人気な理由とは?
この記事のポイント
ECサイト売買は年々増加傾向!買い手・売り手の双方に多くのメリットがある!
2024.06.03
執筆者:和家 智也
サイト売買の中でも特に活発に取引されているECサイト。売り手・買い手の双方に人気があるのには、いくつかの理由があります。
本記事ではECサイトの売買が人気を集めている理由や、売買されやすいサイトの特徴について紹介します。
Contents
ECサイトとは?
ECサイトとは、Eコマースの取引を提供するWebサイトです。Eコマースは、オンライン上におけるモノ・サービスの売買を指します。
ECサイトには自社で独自のWebサイトを構築するものもあれば、Amazonや楽天市場のようにモール型のサービスを提供するものもあります。
ECサイト売買が人気な理由
サイト売買でECサイトが多く取引されているのには、いくつかの理由があります。売り手側・買い手側それぞれの立場から、ECサイト売買の魅力を紹介していきましょう。
【売却側】ECサイト売買が人気な理由
ECサイトの売却が人気の理由として、次のような例が挙げられます。
・まとまった売却益を得られるため ・新規事業の資金を得られるため ・既存事業に注力できるため ・後継者を探せるため |
ECサイトは高値で売却されることもあり、まとまった収益が手に入る魅力があります。その資金を元に新たな事業を始めたり、既存事業に注力したりする人も少なくありません。
また、サイト売買は後継者を見つけられるのも大きなメリットです。これまで運営してきた思い入れのあるECサイトを、サイト売買を通じて託すことができるのは、売り手にとって大きな安心感につながるといえます。
【買取側】ECサイト売買が人気な理由
ECサイトの購入が人気の理由として、次のような例が挙げられます。
・すぐに開業ができるため ・商材を抱えている状態で購入できるため ・アクセスや売上がある状態で購入できるため ・既存事業との親和性があるため ・取引先や人員・在庫をそのまま引き継げるため |
ECサイトを1から立ち上げる場合、安定した売上やリピーターを獲得するまでに一定の時間を要します。軌道に乗るまでは赤字が続くこともあるでしょう。
その点、すでに売上や固定客がついているサイトを購入すれば、引き継ぎ後すぐに収益を得られるメリットがあります。案件によっては仕入先や在庫、人員を引き継ぐことも可能ですので、体制を整えた状態で事業をスタートできるのも大きな魅力です。
ECサイト売買の相場価格
ECサイト売買では、「月間営業利益の1~3年分」がおよその相場価格といわれています。仮に月間営業利益が40万円の場合、480万~1,440万円で取引される目安です。
相場価格にこれだけの幅があるのは、複数の要素を踏まえたうえで取引価格が決められるためです。ECサイト売買では、月間営業利益の他に商材のジャンルやリピーター顧客の有無、SNSとの連携などを考慮して取引価格が決められます。
そのため、実際の売買価格はケースによってさまざまです。上記の価格帯はあくまで一般的な目安だと捉えておきましょう。
売買されやすいECサイトの特徴
売買されやすいECサイトには、次のような特徴があります。
・アクセスや売上が既に上がっている ・在庫を引き継げる ・マニュアルが整備されている ・将来性が見込める ・人員の引き継ぎが相談できる |
それぞれくわしく紹介していきましょう。
アクセスや売上が既に上がっている
ECサイトの売買では、アクセス数や売上が重視されます。買い手側にとってみれば、安定したアクセス数や売上を上げているサイトは、引き継ぎ後の収益の見通しがつきやすいメリットがあります。
売上の規模によっては、サイトの購入にかかった費用を早期に回収することも可能であるため、1からECサイトを立ち上げるよりも「サイト売買で購入した方が手っ取り早い」と判断されるのです。
在庫を引き継げる
ECサイトの売買では、在庫を含めて引き継ぐことがあります。
ECサイトを1から立ち上げる場合、まず商材の仕入れにまとまった資金が必要となります。仕入先を見つけるのに苦労することもあるでしょう。
その点、すでに取引先と関係性ができており、在庫も含めて引き継ぎができるサイト売買は、スムーズにEC事業を始められるメリットがあります。
売り手側にとっても、抱えている在庫を含めて売却ができるので、仕入れにかかった資金を無駄にしないで済みます。
マニュアルが整備されている
サイト売買で心配事として挙げられるのが、「スムーズにサイト運営を引き継げるか」という点です。
買い手側は「同じようにサイト運営を再現できるだろうか」という不安、売り手側は「引き継ぎに時間がかかるのではないか」という不安があり、双方ともに大きな関心事となります。
特に、ECサイトでは受注から発注、顧客からの問い合わせ対応など多くのステップがあり、引き継ぎに時間がかかるケースも少なくありません。
そこで、きちんと運営マニュアルが備えられているECサイトは、引き継ぎ後もサイト運営を再現しやすいことから、買い手から高く評価されます。
将来性が見込める
ECサイトの売買では、将来性の有無についても重視されるポイントです。
たとえば、現在大きな利益を上げているサイトでも、それが一過性の流行や話題性によるものであれば、将来性があるとは言い難いでしょう。
反対に、流行や季節性に左右されずに安定した収益を上げているサイトや、SNSで多くのフォロワーを抱えているサイトなどは将来性があると判断され、多くの買い手がつきやすいといえます。
人員の引き継ぎが相談できる
ECサイトの売買では、運営にかかる人員を含めて引き継ぎが行われることもあります。
たとえば、「ECサイトの運営を任せている店長がそのまま在籍する」という場合、サイトの引き継ぎによってリピーター離れが起こる心配がありません。すでにノウハウを把握しているスタッフがそのまま働いてくれるので、サイト運営に大きなリソースを割かれることもないでしょう。
「サイトの引き継ぎをスムーズに行いたい」、「実務はスタッフに任せたい」という買い手にとって、人員も含めて引き継げる点は大きな魅力です。
ECサイト売買の流れ
ECサイト売買はどのような流れで取引が行われるのでしょうか。ここでは、サイトレードを利用した場合を例に、購入側・売却側それぞれの流れを紹介していきましょう。
購入側の流れ
1.サイトレードへ相談 2.要望のヒアリング 3.売り手との面談 4. デューデリジェンス 5. 譲渡契約の締結 6.ECサイトの引き継ぎ |
サイトレードへご相談いただいた後、購入価格やサイトのジャンル、売上規模などのご要望についてヒアリングさせていただきます。
案件情報の公開後、気になるサイトについて売り手との面談へと進みます。面談では、サイトの運営状況や今後の展望など必要な情報を交換できるよう、サイトレードの担当者がサポートさせていただきます。
その後、売り手から提示された情報に対するデューデリジェンスを行った後、譲渡契約を締結する流れです。
売却側の流れ
1.サイトレードへ相談 2.要望のヒアリング 3.買い手との面談 4.デューデリジェンス 5.譲渡契約の締結 6.ECサイトの引き継ぎ |
サイトレードへご相談いただいた後、売却価格や収益モデル、在庫の引き継ぎの可否などについてヒアリングさせていただきます。
簡易価格の査定後に仲介委託契約書を締結し、売却情報を公開します。購入を希望する買い手側と面談を行い、サイトに対する思いや今後の運営に必要なものなどに関する情報交換の場を設けさせていただきます。
その後、買い手によるデューデリジェンスを終え、譲渡契約を締結する流れです。
ECサイトの売買事例
サイトレードでは、実際にECサイトの売買を多く取り扱っています。ここでは、その一例を紹介しましょう。
サイトレードでは、eBayやAmazonのアカウント売買も取り扱っていますので、購入・売却をご希望の方はお気軽にご相談ください。
事例①ゲーム機器販売を行うeBayアカウントの売却
ゲーム機器販売をメインに行うeBayアカウントの売却事例です。
2015年から運営実績のあるアカウントで、4,000件以上の評価数と3,700人のフォロワーがついていることが特徴でした。
eBayでのリミットが厳しいゲーム機器ジャンルで、1万点の出品、100万米ドルの出品金額まで制限が解除されていることが高く評価され、高値での売買につながっています。
事例②ペットの写真からオリジナルグッズを作る通販サイトの売却
ペットの写真からオリジナルグッズを作るECサイトの売却事例です。
このECサイトは、自分のペットの写真をアップロードし、Tシャツやマグカップ、クッションカバー、スマートフォンケースなど、豊富なアイテムにプリントできることが特徴でした。
リピーターの顧客がついていることや、写真のアップロード~決済まで簡単に行えるシステムが構築されていたことが買い手から高く評価される要因となっています。
事例③オリジナル健康サプリ販売を行うAmazonアカウントの売却
オリジナル健康サプリの販売を行うAmazonアカウントの売却事例です。このアカウントでは1,000人以上のリピーターを抱えており、安定した収益を上げていることが特徴でした。
製造会社や運営のノウハウをすべて引き継ぐことや、1日1時間で運営が可能である点が評価され、高値での売却へと至りました。
事例④高級ドレス通販サイトの売却
高級ブランドのドレス・ワンピース通販サイトの売却事例です。このECサイトは並行輸入のビジネスモデルで、受注発注方式の無在庫で運営ができることが特徴でした。
一定のリピーターがついていることや、少ないリソースで運営ができることが買い手から高く評価される要因となっています。
まとめ
コロナ禍で大きく需要を伸ばしたECサイトは、サイト売買も活発に行われています。買い手・売り手双方に多くのメリットがあり、安定した売上があるサイトや将来性のあるサイトなどを中心に売買されています。
サイトレードではeBayやAmazonなどECサイトのアカウント売買も取り扱っていますので、購入・売却をご希望の方はどうぞお気軽にご相談ください。
執筆者: M&Aアドバイザー 和家 智也(わけ ともや)
株式会社ゼスタス 代表取締役/早稲田M&Aパートナーズ株式会社 代表取締役
一般社団法人日本サイトM&A協会 代表理事
筑波大学第三学群基礎工学類卒業。早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻修士課程修了(MBA)。2006年、サイトM&A専門仲介事業『サイトレード』を立ち上げる。2017年、第11回M&Aフォーラム賞 選考委員会特別賞を受賞。著書『M&Aエグジットで連続起業家(シリアルアントレプレナー)になる』