サイト売買コラム

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ECサイト売買でおすすめのカートシステムは?4選紹介

この記事のポイント

ECサイト売買のカートシステムが譲渡できるか事前に確認を!

執筆者:和家 智也

コロナ禍以降のECサイトの需要増加により、サイト売買も活発に行われています。ECサイトにはカートシステムの利用が欠かせませんが、サイト売買で利用者の多いカートシステムはあるのでしょうか。

本記事では、ECサイト売買におすすめのカートシステムや、ECサイト売買で起こりがちなトラブル事例について紹介します。

ECサイト売買で起こるトラブル

ECサイトの売買では、次のようなトラブルが起こることがあります。

・操作方法やマニュアルを作成する必要がある
・引き継ぎ事項が多い
・先方が手続きを行ってくれない
・情報の更新が必要

それぞれくわしく紹介していきましょう。

操作方法やマニュアルを作成する必要がある

商品の受注や発送作業、問い合わせ対応、在庫管理など多くの業務が発生するECサイト運営では、売買による引き継ぎ時に店舗の運営マニュアルの作成を求められることがあります。

多岐にわたるECサイト運営業務をマニュアル化するとなると、作成にかかる時間も相応のものとなるでしょう。ECサイトを売却する際は、マニュアルの作成にかかるリソースも確保しておくと安心です。

引き継ぎ事項が多い

ECサイト売買は、管理している顧客情報や運営手法など多くの引き継ぎ事項があることが特徴です。「ただ契約を締結してそれで終わり」とはならないため、余裕を持ってサイト売買に取り組むようにしましょう。

また、中には売却後の一定期間サポートを求められる場合もあります。サポート期間中は買い手からの問い合わせに対応する必要があるため、あらかじめ留意しておきましょう。

先方が手続きを行ってくれない

サイト売買では双方で手続きを進めるため、どちらか一方が手続きを怠ると契約の流れが膠着してしまいます。特にECサイト売買では引き継ぎ手続きのステップも多いため、スムーズに売買を完了するためには双方の協力が欠かせません。

また、お互いのスケジュール感に齟齬が生じないためには、面談時におよその手続きの流れを確認し合っておくとよいでしょう。

情報の更新が必要

ECサイト売買では、引き継ぎ時に振込先などの登録情報を更新する必要があります。もし振込先の情報を更新していなければ、引き継ぎ後の売上が売り手側の口座に入金されてしまい、金銭のやり取りが発生することとなります。

また、ECサイトの決済方法を増やす場合、ECサイトによっては別途申請手続きが必要となることがあるため、事前に確認しておくことが大切です。

ECサイト売買で利用者の多いカートシステムは?

ECサイト売買で利用者の多いカートシステムは下記の通りです。

・GMOメイクショップ
・カラーミーショップ
・Shopify
・BASE

それぞれ特徴を紹介していきましょう。

GMOメイクショップ

GMOメイクショップは売上手数料が0円であることに加えて、カード手数料は3.14%~となっており、コストを抑えたECサイトの運営ができることが特徴です。売上手数料やカード手数料はECサイトの運営に必要なランニングコストとなるため、なるべく安価に抑えられるのは嬉しいポイントといえます。

カラーミーショップ

カラーミーショップは、Amazon Payを無料で導入できることが魅力のひとつです。Amazon Payは最短3クリックで決済が完了するため、購入画面の離脱を防げるメリットがあります。また、精度の高いAmazonのセキュリティを活用していることから、不正注文を防げるのも大きなメリットです。

Shopify

ShopifyはInstagramやFacebookと連携しており、SNSを通じて販売できることが特徴です。また、業界で唯一楽天市場との直接連携も搭載しているため、さまざまなチャネルから集客ができる魅力があります。SNSでの発信に力を入れているECサイトは、Shopifyの利用が便利でしょう。

BASE

ショップ数が200万を超えるBASEでは、ECサイトで発生する面倒な管理業務を任せられることが特徴です。運営効率化を図る機能が多く揃えられていますので、サイト運営にかかる手間を最小限にしたい人にも向いています。

ECサイト売買でよくある質問

ここからは、ECサイトの売買に関するよくある質問について回答していきます。

Q1.ECサイトの運用をしたことないのですが購入できますか?

ECサイト運営が未経験の場合でも、サイトを購入することは可能です。ただし、利用するカートシステムによっては、運営の難易度が高いものもあるため、ある程度知識を身につけておく必要があります。

また、引き継ぎ後のサイト運営が不安な場合は、売り手側にマニュアルの用意やサポート期間の設置を交渉することも可能です。カートシステム会社によっては、すでにマニュアルが用意されていたり、電話でサポートが受けられたりするところもあるため、過度に心配する必要はないでしょう。

Q2.ショッピングモールのサイトは売却できますか?

楽天市場やヤフーショッピングなどのショッピングモールのサイトは、基本的に名義変更ができないため売買することができません。ただし、中には一部モール側の許可を得ることで名義変更ができるショッピングモールもあります。

くわしくは利用しているショッピングモールに確認してみましょう。

Q3.ネットショップの店長を転籍させたくないです。

店長が行っている業務の引き継ぎができれば、転籍しない交渉も可能です。その場合は、「店長が担っている業務をリスト化する」、「店舗の運営をマニュアル化する」など、買い手側がスムーズにサイトを引き継げるように配慮することが大切です。

Q4.商品在庫も一緒に買い取ってもらえるのでしょうか?

ECサイト売買では、商品在庫も含めて売却できます。商品在庫は、資産として帳簿上の仕入れ価格で評価され、ECサイトと共に買い取ってもらうことができます。

ただし、余剰在庫や滞留在庫、不良在庫は評価されないため注意が必要です。

まとめ

近年ますます需要が高まっているECサイトの売買では、GMOメイクショップやカラーミーショップ、Shopifyなど多くのカートシステムを利用したサイトが売買されています。ただし、通常のサイト売買に比べて複数のステップを踏む必要があるECサイトの売買では、引き継ぎ時にトラブルが起こるケースもあるようです。

スムーズに引き継ぎを進めるためには、売り手と買い手を仲介して手続きをサポートしてくれる仲介業者の利用を検討してみましょう。

執筆著者 和家智也(わけともや)

執筆者: M&Aアドバイザー 和家 智也(わけ ともや)
株式会社ゼスタス 代表取締役/早稲田M&Aパートナーズ株式会社 代表取締役
一般社団法人日本サイトM&A協会 代表理事

筑波大学第三学群基礎工学類卒業。早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻修士課程修了(MBA)。2006年、サイトM&A専門仲介事業『サイトレード』を立ち上げる。2017年、第11回M&Aフォーラム賞 選考委員会特別賞を受賞。著書『M&Aエグジットで連続起業家(シリアルアントレプレナー)になる