サイト売買コラム

ECサイト売買の需要と高く売却するコツを解説

【この記事のポイント】
ECサイトを高く売りたいなら成約事例から共通点を見つける!
執筆者: 和家 智也

コロナ禍以降ますます市場を拡大しているECサイト業界では、サイト売買も活発に行われています。今回はそのECサイトに焦点を当てて、ECサイトの売買の需要や高く売却するコツ、売買されやすいジャンルについて解説していきます。

■ ECサイト売買の需要とは?売り手・買い手別に解説

ECサイト売買の需要とは
ECサイトの売買にはどのような需要があるのでしょうか。売り手・買い手それぞれの目線で考えてみましょう。

■ 買い手から見たECサイト売買の需要

まずは、買い手側のECサイト売買の需要について説明していきます。

①サイトの初期構築にかかる時間・コストを削減できる

ECサイトの買い手側はサイト売買によって、サイト初期構築にかかる時間・コストを削減できるメリットがあります。通常ECサイトをゼロから立ち上げる場合、サイトの制作費用やシステム開発費用、外注費、人件費など多くのコストが発生します。しかし、サイト売買では既に運営されているサイトを購入するため、それらのステップを省略し時間を買うことができるのです。
また、ECサイトについている固定顧客やリピーターも引き継げるため、マーケティングにかかるコストが削減できるメリットもあります。

②軌道に乗っているECサイトを購入すれば売上が手に入る

既に安定して収益を上げているECサイトを購入した場合、サイトを購入した後すぐに売上が入ってきます。新規でECサイトを構築した場合、安定した収益を得られるようになるまで少なくとも1年以上はかかります。マーケティングが成功しなければ、なかなか固定顧客がつかないこともあり得るでしょう。
サイト売買の場合、すでに固定顧客やリピーターがついていて、収益を上げているECサイトを手にすることができます。

③事前に収支が把握できる為、事業計画が立てやすい

サイト売買を行う前は、サイト運営にかかる詳細な収支状況を売り手へヒアリングすることができます。そのため、買い手側はサイト購入後の事業計画を立てることも可能です。
サイトを新規で立ち上げた場合「想定以上に運営コストがかかる」「余計な経費が掛かって利益がでない」など見通しが狂ってしまうことはよくあります。しかし、サイト売買では売り手側から売り上げ以外にも、販売管理費、人件費、営業利益、顧客獲得単価など実際のキャッシュフローやKPIを確認できるため、実情に沿った事業計画が立てられるのです。

④既存ビジネスと相乗効果が期待できる

サイト売買では既存のビジネスとの相乗効果(シナジー効果)が期待できます。たとえば既にECサイトを運営している企業が新たにECサイトを購入した場合、クロスセルやアップセル、取扱商品の拡大などの相乗効果(シナジー効果)が得られます。
既存のビジネスとの間に親和性があるか見極めながらサイト売買を行えば、既存ビジネス・新ビジネス双方にプラスの影響が見込めるでしょう。

⑤販路拡大などのビジネスプランを考えられる

ECサイトを購入することは既存ビジネスの販路拡大につながります。たとえば、実店舗での販売事業を中心としている企業がECサイトを購入するとネットという販売チャネルが拡大できるため、既存商品の売上アップの効果も期待できるのです。
コロナ禍でEC事業の需要が拡大したことを鑑みると、既存事業の販売チャネルを複数持っておくことは今後のビジネスプランを練る上で大切なポイントといえます。

■ 売り手から見たECサイト売買の需要

売り手から見たECサイト売買の需要
次に売り手側のECサイト売買の需要について見ていきましょう。

①まとまった資金が入る

ECサイトを売却した場合、売り手側にはまとまった資金が入ります。その資金を元に新しいビジネスを始めることも可能です。サイトがどれくらいの金額で売却できるかはECサイトの魅力次第ですが、実際にサイト売買で得た資金を元に新規ビジネスを立ち上げ、連続起業家として活躍している人もたくさん誕生しています。

②在庫もまとめて売ることができる

ECサイトを売却する際は、サイトの所有権・運営権だけでなく、仕入れ先、顧客リスト、商品在庫も全て引き継ぎます。ECサイトの運営で大変なことは商品が入れ替わり、過剰在庫を抱えないことと、売れすぎによる欠品をなくすことです。これまで在庫管理や運転資金のことばかり考えていたとしても、サイト売買によって在庫ビジネスの不安がなくなります。

③別の事業に集中できる

ECサイトの運営には発注確認、発送作業、在庫管理、代金回収、顧客対応など多くの時間・コストがかかります。もちろん、流行に取り残されないよう、マーチャンダイジングや新商品開発にも時間をかけなければなりませんし、何よりマーケティングがうまく回っていなければ注文が入らないでしょう。すなわち、ECサイトは片手間で運営できるものではないのです。必要に応じてサイト売買という選択をすれば、売り手は別の事業に集中することができます。

■ ECサイトを高く売却するコツ

ECサイトを高く売却するコツ
ここからは、ECサイトを高く売却するコツについて見ていきましょう。

①アクセス数を増やす

サイト売買を行う際は月間PV・UUのアクセスデータを開示します。買い手側にとってPV数が多い少ないより、PV数が伸びているサイトの方が好印象を持ちます。そのため売り手側はPV数を伸ばす努力が必要です。
すでに固定顧客がついているECサイトであっても、定期的にサイト更新を行う、SNSでフォロワーを増やすなど継続的な努力を行いましょう。

②会員数を増やす

売上・利益が少ないECサイトでも、会員数が多ければ相場よりも高く売却できる可能性があります。サイト購入後に商材の拡充や商材の良さを伝えるサイト作りをするなどの工夫を行えば、売上利益が伸びる期待があるためです。
PV数を増やすポイント同様に、「継続的に利用したい」と顧客に思われるサイト運営を目指しましょう。

③自分のサイトのアピールポイントを知っておく

ECサイトの売買でアピールポイントとなるのは、必ずしも売上だけではありません。買い手側に魅力を感じてもらえるようなアピールポイントを知っておくことが大切です。
たとえば「独自の仕入れ先がある」、「取り扱っている商材に競合サイトが少ない」など自分のサイトの強みを挙げてみましょう。買い手側へ上手にアピールポイントを伝えられれば、相場よりも高く売却できる可能性があります。

④営業利益を上げる

アクセス数や会員数に加えて、営業利益を上げることも大切なポイントです。安定した営業利益を上げているサイトは、買い手側に魅力的に映ることは間違いありません。
急に売上が伸ばせない場合であれば、経費を下げることで営業利益を増やすことができます。広告費がかさんでいるのであれば「SNSからの集客に力を入れる」「商品説明を丁寧に書く」など営業利益を上げる努力をコツコツと積み上げることが大切です。

⑤売上が好調なタイミングで売却を検討する

なるべく高くECサイトを売却したいと考えているのであれば、ECサイトの売上が好調の内に売却することが間違いのない選択です。売上が好調の時にサイトを売却するのはもったいないので誰もができる決断ではありません。
一方で、売上が下降しているECサイトは間違いなく買い手から安値で叩かれてしまうでしょう。

⑥誰でも運用しておけるようにする

ECサイトの売買では、運営に属人性が強いものは敬遠される傾向にあります。サイトを購入しても同じように運営していくことが難しいためです。
運営マニュアルがしっかりと備えられており、誰でも運用できるサイトであれば買い手側も購入後のイメージがつきやすく、高値で売却できる可能性があります。

■ 売買されやすいECサイトのジャンル

では、実際にはどのようなECサイトが売買されているのでしょうか。サイトレードでサイト売買が成立した例を紹介していきます。

実際にサイトレードでサイト売買が成立した案件では、ファッション分野では並行輸入の無在庫型が多い傾向にあります。在庫を抱えているECサイトでは、在庫を仕入れ値で引き継ぐといった点をアピールしている例も見られます。自社オリジナル商品の場合は、OEM製造ができる工場の紹介・引継ぎをするという案件もあります。

また、SEOの自然流入だけでなく、ブログやSNSからの集客に力を入れているECサイトが高値で売買される傾向にあります。これら売れるサイトの共通点を見ていくと、サイトの価値を高めるヒントが見つかるでしょう。

まとめ

今回はECサイトの売買の需要や高く売却するコツを解説してきました。コロナ禍以降、市場が拡大しているEC業界はポイントを抑えればサイトを高く売却することが可能です。
ECサイトの売却を検討している方は、「自分のサイトがどれくらいで売れるのか」ということを知っておくことも大切です。まずは現在のサイト価値を知っておくためにも査定相談から始めてみてはどうでしょうか。

執筆著者 和家智也(わけともや)

執筆者: M&Aアドバイザー 和家 智也(わけ ともや)
株式会社ゼスタス 代表取締役/早稲田M&Aパートナーズ株式会社 代表取締役
一般社団法人日本サイトM&A協会 代表理事

筑波大学第三学群基礎工学類卒業。早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻修士課程修了(MBA)。2006年、サイトM&A専門仲介事業『サイトレード』を立ち上げる。2017年、第11回M&Aフォーラム賞 選考委員会特別賞を受賞。著書『M&Aエグジットで連続起業家(シリアルアントレプレナー)になる